| 宮嶋望さんが代表を務める「共働学舎新得農場」は、北海道・十勝平野の豊かな自然の
なかで、牛飼いからチーズづくりまでを一貫して行っています。ここでは、「効率的な機械」
に頼ることをしません。むしろ、反対です。人も牛も自然のリズムに合わせて生活し、生き
物の命が熟す時間に合わせて人は手をかし、工夫していきます。ストレスのない生活の
ためのヒントがいっぱいです。宮嶋さんにお話をうかがいます。 |
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自然の理にかなった生き方を目指す
新得共働学舎のチーズ「さくら」をいただきました。ほのかに桜の香りがして、ワインによく合いそうです。
宮嶋(以下宮):おかげさまで、07年にドイツで開かれた「「山のチーズオリンピック」金賞受賞など、いくつか賞をいただきました。「効率的な機械に頼らない」という方法は一見遠回りのようですが、実際は違います。むしろ「自然のリズムに従って生きる、自然の力を生かすものづくり」はもっとも無理のない方法なのです。
宮嶋さんは、アメリカで畜産を勉強されました。
宮:アメリカ・ウィスコンシン大学畜産学部を卒業し、実習もしています。アメリカの酪農の根本には、いかに生産性をあげて、世界のマーケットを制するかがあります。そのため、牛にも人にも負担をかける。私はアメリカの真似をしたくなかった。 |
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目指したのは、自然の理にかなった生き方、生産システム。
宮:つまり、リラックスした家畜から牛乳をとり、自然の発酵作用によるチーズづくりをすること。美味しくて安全なものをつくりたいということです。78年に共働学舎新得農場を設立しましたが、現実に、それで生活していけるのか。30年かけて、ようやく見えてきたという状況です。 |
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| 牛も人もストレスフリーな環境をつくる |
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具体的には、どんな方法ですか。
宮:まず、土地を健康にすること。農薬は使わず、できうるかぎり化学肥料を減らしました。その土で牧草やコーンを育て、飼料にします。牛からの排せつ物は完熟たい肥として畑に戻します。また、牛舎は木造です。牛はつながず、寝床も仕切りをなくすことで、牛にストレスがかからないようにしています。牛舎、寝床の臭いを抑えるために、650kgの炭を埋め、アースジェネター(土壌菌)を餌に加えました。臭いがなくなるとハエもわかなくなる。牛がリラックスして、健康になりました。
牛をつながないでも、暴れたり、けんかすることはないんですか。
宮:牛が暴れるのは、ハエが多いとか、体が汚れているとか、ストレスがあるからなんです。ストレスが少なければ、牛も落ち着いている。世話をする人も楽です。共働学舎新得農場は心にストレスを持った人(※)が多くいるので、働きやすい環境をつくることも大切です。 |
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| (※)新得共働学舎は農業や酪農作業を通して、心身に悩みを持った人々が自立の道を探る施設でもあり、「ひきこもり」「不登校児」「障害者」「非行少年」などと呼ばれ、悩みを抱えてやってきた人も多く働いています。そうした人々との出会い、癒しの物語は、著書「みんな、神様をつれてやってきた」(地湧社)に紹介されています。 |
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アースジェネター(土壌菌)というのは、善玉菌ですか?
宮:そうです。生きている肉体は腐らない。死ぬと腸内から腐敗がはじまり、土に還る。なぜ、健康な肉体は腐らないかというと、腸内に発酵菌(善玉菌)がいるからです。これが、大腸菌やその他の悪玉菌を支配して、良好な状態を保ってくれる。発酵菌は共生している訳ですから、宿主が元気でいてくれなくては困る。 牛舎のなかも同じです。アースジェネターという発酵菌が活発に働くと、病原菌などの悪玉菌を退治してくれる。 |
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炭を使ってマイナスイオンの泉をつくる
炭が発酵菌を増やしてくれるんですね。
宮:乾電池を考えてみてください。プラスとマイナスの極があり、マイナスからプラスに電子(イオン)が流れていきます。乾電池には炭素が入っています。その炭素が、マイナスイオンを引きつけているのです。自然界ではマイナスイオンは地表を西の方角から来ます。牛舎の地下に埋めた炭がこのマイナス電子を引き寄せて、牛舎のなかに吐き出してくれる。牛舎のなかにマイナスイオンの泉ができる。 |
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マイナスイオンをシャワーのように浴びるわけですね。
宮:肉体は食べ物としてエネルギーを取り入れ、活動している。生きている肉体では、常にエネルギーが流れている。流れ水は腐らないというでしょう。滞らせたらだめなんです。ところが、建物が鉄筋だと、その鉄を伝ってマイナスイオンが放電されてしまう。部屋のなかにマイナスイオンがたまらない。だから、冷えるんです。木造がいいんです。 |
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人間も木造に住むのがいいのでしょうか。
宮:もちろん。瓦もすばらしい。木造の家に住み、真中に炭をおき、マイナスイオンがやってくる西を頭にして眠り、東に窓や玄関をおいて朝日を浴びる。 |
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といっても、マンション住まいではなかなか実現がしにくい。もう少し簡単に、マイナスイオンを増やす方法はありますか。
宮:大きめの素焼きかセラミックの植木鉢の底に炭を入れ、観葉植物を植えて、東南の窓か角におく。こうすると、生きた植物が森の効果を提供してくれます。できれば、毎朝、おはようと声をかけ、多めに水をやるとさらにいいです。 |
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| (後編に続く) |
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