時代は癒しを求めている

ついに奇跡の泉が現れる

エリザの霊ではなくおそらく聖母マリアかもしれない?!と思ったミエ夫人とベルナデット。そしてますます人々の口から口へと、マサビエルの洞窟に現れると噂はどんどん広がっていきます。小さなルルドの町には、沢山の人たちが集まるようになりました。かなり衝撃的なニュースだからです。一対何事か?!ということになり、ルルドの警察はマサビエルの洞窟を訪れる人たちが増えるにつれて、警備や治安上の面でも脅威をかんじるようになりした。

出現が続いた15日間

ルルドの警察署長ジャコメは、このままではまずいと思ったからでしょう。ベルナデットを警察署に連行します。そして、ベルナデットは情緒不安定な思春期の少女がみた白日夢ということにして、この騒ぎと騒動を収拾しようとします。ベルナデットは、字の読み書きができないので、字の読み書きができないことを良いことに、警察にとって都合のよいように適当な調書をつくろうとしました。ところが、警察署長ジャコメが読み上げ同意を求める尋問調書に対して、ベルナデットは逐一反論を加えます。そして実際に見たとことへの改竄について、一切の同意をしませんでした。

業を煮やしたジャコメ署長がどうしたのかというと、ベルナデットの父親を呼びつけて脅します。そしてベルナデットが洞窟に行くことを禁じてしまいました。そしてこの尋問に立ち会ったのは、税務署長のジャン=バティスト・エストラードと、その妹のエマニュエリットが立ち会っていました。税務署長のエストラードは、ベルナデットの話になおも懐疑的でしたが、妹に促されるかたちで警察署長の許可を得て、第7回の出現に立ち会うことになりました。

7回目と8回目

税務署長のエストラードは、2月23日にベルナデットの後についてマサビエルの洞窟におもむきました。ひざまづいたベルナデットに一瞬光りが差し込むと、ベルナデットはうやうやしくおじきをします。そしてまるでベルナデットは生まれ変わったに見えました。

ベルナデットの瞳は光り輝いて、そしてその唇にはえもいわれぬ微笑みが生まれていて、ベルナデットはもはやベルナデットではないようにしか見えない姿でした。自分の見たものをどう理解して良いのかわからないままに、エストラードは次のように語りました。「私はボルドーの劇場に行ったときに、有名な女優のラシェルを見ました。ラシェルは本当にすばらしい女性でした。それでも、その彼女でさえもベルナデットとは比べものにならない。」

今まで懐疑的だったエストラードが態度を変えた!という噂が広がったことで、ますます聖母マリアの出現を信じる人がますます増えていきました。そして翌日の2月24日第8回のときにベルナデットは言葉を聞きます。その言葉は「罪びとの回心のために神様に祈りなさい」この言葉を聞いたベルナデットは「償いを!」という言葉を人々に取り次ぐことになりました。


9回目で遂に泉が・・

そして翌日9回目の出現となる2月25日には、洞窟の前にはすでに350人くらいの人々が集まっていて、マサビエルの洞窟は騒然な雰囲気になっていましたが、そんな中にベルナデットが現れました。ベルナデットは、洞窟の前で祈った後に、うなずいて何かを探すそぶりをして、川の方へ降りていきます。そして振り返るとまたうなづいて、洞窟の前に戻って地面を掘り始めました。

そして赤みを帯びた泥水を三回すくって自分を顔に近づけます。そして4回目にしてようやく、その水を口に入れて飲みました。信仰心の強い美しい少女を期待してやって来たたくさんの野次馬たちは、ベルナデットの泥まみれになった顔を見て笑います。「女優のラシェルだって?!ただのへんちくりんな田舎娘がいるだけじゃないか!!」とあざけって、洞窟から去って行きました。ベルナデットの言葉を信じる人たちだけが、そのままその場所に残っていると、湧き出てきた泥水は絶えることなく流れ続けます。エレオノーラ・ペラールという婦人が、この穴に棒を差し込むとせせらぎのような音が聞こえてきました。そして水量はいよいよ増していき、汲めば汲むほど、みるみるうちに透き通りきれいになっていきました。

この時になにがあったのでしょうか。「聖母」はまずベルナデットに「泉に行って水を飲んで顔を洗いなさい」と言いました。ベルナデットがいた近くに水は無かったので、ベルナデットは近くの川へ行こうとしますが「聖母」が「洞窟の岩の下の方へ行くようにと指を差しました」するとそこには、泥水が少し湧いていました。そこをベルナデットは掘りはじめたのです。これが今の【ルルドの泉】の始まりとなりました。

検事からの召喚

2月15日の夕刻に、検事のヴィタル・デュトゥールは、民衆の騒乱を恐れた知事から命令を受けたため、ベルナデットを連行して尋問します。ところが、まったく法律違法を犯していないベルナデットの逮捕に激昂した民衆たちが、ベルナデットの釈放を求めて検事庁舎に押しかけて押し問答となりました。検事は適当な調書を作ろうとしていましたが、「手はふるえ、ンク壺にペンを入れそこねて、やたらと紙の上に書きなぐっていた」という有様でした。やがて無事にベルナデットは釈放されることになりました。

デュトゥール検事は、ラカデ町長とともにこのような事態となったことを収拾してくれるようにと、ペラマール神父に求めましたが、「ご承知の通りに、ベルナデットは罪人でもなければ、狂人でもありません。もし知事が武力をもって、スビルー一家を襲うようなことをすれば、その家の門前に立ちふさがって最後までたたかう者があることを忘れないようになさい。」 と返答して、デュトゥール検事の申し出をキッパリと退けました。

ペラマール神父の親族には、医師のほかに弟のアレクサンドルはペルーの造幣局長で、姪のデルフィーヌ義兄はエクアドルのガブリエル・ガルシア・モレノ大統領でした。いわばペラマール神父の親族には、ピレネー地方にかなり影響力がある名門出身だったので、この神父の庇護があることで官憲側もうかつにベルナデットを拘引することができなくなったのです。