時代は癒しを求めている

聖母マリアが現れた?!

フランス南西部のルルドで、読み書きもできず貧しい生活を送っているベルナデットは聖母マリアを見ます。それも一度だけではなりません。彼女の前に聖母が18回も姿を現すのです。読み書きさえできない少女が?!と奇異の目で見られたことでしょう。いったい彼女はどのように「奇跡」を見るようになったのでしょうか。

聖母が出現する

最初にベルナデットが聖母を見るのは、1858年2月11日です。ベルナデットが14歳の時でした。最初に見てから、ローマ教皇ピウス9世からお墨付きを頂いたのは1862年です。ベルナデットが一番最初に聖母を見るのは、マサビエルの洞窟でベルナデット自身も聖母だとは思いもよらなかったため、美しい貴婦人に出会ったものだとばかり思っていました。

1回目

1858年2月11日にベルナデットは、妹のマリー・トワネットと隣の家のジャンヌ・アバディーと一緒に、お昼ご飯の支度をするための薪をひろいにマッサビエルの洞窟に向かいます。子供たちは古い橋ポン・ヴューから、ポー川を渡って、シュベルカレールの森へ向かう道をたどり、サヴィの水車小屋を動かしている水路の橋をまたぎました。そして、当時はシャレ島と呼ばれていた中州にあるサヴィの牧草地に入って、サヴィとメルラスの運河が合流する水路がポー川に注ぐ牧草地の西端に向かいます。

ポー川から引かれた水路では、この場所が一番川幅が狭くなっているので、歩いて水路を渡れることができるからです。マリー・トワネットとジャンヌ・アバディーのふたりは先に水路を渡りますが、ベルナデットは母親が喘息の発作を怖がっていることを思い出して、川を渡ることを躊躇していました。2月はとても寒く、川の水はとても冷たいのです。どうにかして足を濡らさないで、川を渡れる場所はないかしら。と探していましたが、どこにもなかったので、思い切って濡れてもいいわ。と靴下を脱ごうとしました。

靴下を脱ごうとして「片方の靴下を脱いだときに、風の音のようなもの」が聞こえました。風の音?と振り返ってみましたが、何も見えませんでした。振り返ってもう片方の靴下を脱ごうとすると、またまた大きな風の音がしました。そして前を見ると木の枝が揺れ動いて、野生のバラの木が地面から上に伸びていて洞窟のくぼみまで3メートルまでに伸びていました。暗いくぼみには柔らかい光が射し込んでいて、白い服を着た女性が両手を開いて手招きをしていました。

ベルナデットはびっくりします。まさか夢でも見ているのでは?!と思って何度も目をこすって見ましたが、女性はほほえみをながらベルナデットを見つめていました。ベルナデッドはポケットの中にあるロザリオに手を触れて十字の印を切ろうとしましたが、なかなか手が挙がりませでした。ところが女性の方が十字の印を切ると、ベルナデットは手が挙げられるようになったので、ベルナデットはロザリオの祈りを唱えました。

洞窟を注視して祈っているベルナデットを見てたふたりの少女にたちに、ベルナデットは「何か見えなかった?」と尋ねると、ふたりは好奇心にかられてベルナデットから、誰にも口外しないという条件でベルナデットが見た経緯を聞き出すことになりました。ところが誰にも口外しないという約束をふたりが破ってしまったので、またたく間に噂が小さな町中に広まりました。

それから2日後の2月13日土曜日に、ベルナデットはルルド教区の司祭に告白します。それは「一陣の風」が吹いて振り返ったら「婦人のかたちをした白いもの」が見えた。という告白です。その告白を聞いたベルトラン・ポミアン神父はベルナデットの正直さを知っているため、少女が作り話をしているようには思えなかったため、ベルナデットから聞いた話を主任司祭のペラマール神父に伝えました。ポミアン神父が特に打たれたのは風の音のことです。神父は使徒行伝2章にある聖霊降誕の際の「激しい風」のことを想像したからです。

2回目

ベルナデットがみた人影の正体についてあれこれ取り沙汰されるようになりました。そして神父に告白して翌日の2月14日日曜日に、ベルナデットたちは、見た人影の善悪を見極めるために教会から聖水をもらいます。そして出現した女性に振りかけてみると…「聖水をふりかけければ、ふりかけるほどに、あの方はほほえみ」を増したのです。そして以前からミエ夫人は洞窟の話に興味を持っていましたが、その理由はベルナデットの話にでてきた「白い服・青い帯・ロザリオ」という人影の服装を聞いて、その人影は前年に亡くなったエリザ・ラタピの霊ではないかと考えました。実子がいなかったたためミエ夫人は、姪っ子のエリザを養子にしていましたが、姪っ子のエリザは、前年に亡くなっていたからです。ミエ夫人がエリザの霊では?と考えた理由には、洞窟に現れた人影の女性が着用していた服装が、当時ルルド地方で信心深い女性たちをひきつけていた『幼きマリア会』 というルルドの未婚の女性の信心会で、その制服と一致していたからです。そしてミエ夫人の養子で亡くなったエリザは、まさしく『幼きマリア会』の制服のままで埋葬されていたからです。

3回目

エリザの霊かどうかその真相を確かめるために、ミエ夫人はベルナデットを連れて筆記用具をもって一緒に出向きます。そしてそこで現れた女性に対して「どうぞお名前を書いて下さい」と願い出ます。ところが現れた人影は、その必要はありません。とされました。そして「お願いです。どうかここに15日間続けて来て下さいませんか」という答えが返って来ました。それだけではなく、その若い女性は「私は、あなたをこの世でしあわせにすることは約束できませんが、あの世でしあわせにすることを約束します」と語りました。ミエ夫人はベルナデットが「あれ」 と呼ぶ、若い女性がエリザの霊ではないということがすぐわかります。そして「もしかすると・・聖母マリアかもしれない」と思うようになりました。