時代は癒しを求めている

ルルドへの道

聖母マリアが現れたことで有名になった『ルルドの泉』が世界的に有名になったのは、まず最初のベストセラーになったのは1869年の『ルルドの聖母』です。フランスの作家アンリ・ラセールが書いた本ですが、この本は世界で80カ国に翻訳されました。おまけに序文を書いたのが、ローマ教皇のピウス9世となれば世界中のカトリック信徒が買ったのも納得できます。でもやはりこの本よりも「癒し」を求めて世界で有数のパワースポットとして「ルルド」が世界的に有名になりルルドを訪れる人にとって、大きなキッカケとなったのは、1949年の『ルルドへの旅』です。

奇跡を目にしてびっくり

フランスの小説家で自然主義文学の代表的な存在の作家エミール・ゾラが書いた1894年『ルルド』を読んで、「これは面白そうだぞ!」と単なる好奇心でルルドにおもむいたのが、若い医学生のアレクシス・カレルです。小説の中ではカレルではなく、逆さ読みの「レラック」になっていますが、単なる好奇心で訪れたルルドで、マリー・フェランという名前の末期の結核患者に出会いました。

「結核性腹膜炎で臨終」すると、医師から思われていたマリー・フェランの最期の願いは、ただひとつでした。それは『ルルドの泉』で水浴することでした。結核末期のマリーの病状は、もはや医師がどうにも手の施しようのない状態だったので、担架でルルドの泉まで運んだとしてもおそらくルルドの泉へ行く途中で、亡くなるなってしまうだろう。と思われました。

ところが、瀕死の状態だったマリー・フェランは洞窟の前でみるみるうちに治癒していく事実を目にすることになります。半信半疑の状態でルルドを訪れて、どうみても助かりそうにもないただ死を待つだけの患者が治癒していく様子を、実際に目の前でみて驚嘆します。これは新しい化学現象なのか?どうなのか?!実験室での観察と同じように、このルルドの泉の奇跡を目の前でみて、患者が治癒した様子の観察結果を変えるわけには行きません。

その若き医学生こそが、1912年にノーベル・生理学医学賞を受賞するアレクシス・カレルです。アレクシス・カレルは血管縫合や臓器移植に関する先駆的研究で、数々の功績を残した博士となりますが、まだ医学生の時に目の前でみた「ルルドの泉」での奇跡を見て、生き方や考え方など大きな影響を受けることになりました。


奇跡の公認

「奇跡」として認められるには、数々の手続きが必要になります。なかなかちょっとやそっとのことでは、教会は「奇跡」とは認めません。「治った!!奇跡だ~!」となってカトリック教会に申請をあげたとします。

カトリック教会が『奇跡的治癒』だと認定するまでに、まず治癒した患者からの申告があり、ルルドにある付属病院で厳密な診察が行われます。そして治癒した後の観察記録そして追跡調査も経て、そして医師団の審査をへて『奇跡的治癒』だと認定されます。そのためベルナデットが聖母マリアを見てから 130年間の間ルルドの泉で治癒したケースのうちで、約2500例のケースでカトリック教会側は「説明不可能」としています。そしてそのうちの65例が『奇跡的治癒』と認定しています。

かなり厳格な審査ゆえに、たった65例にしかありませんがその説明不可能なものでも2500例、実際にはさらにその数を上回るといわれています。そのため、聖母マリアの出現した「ルルド」の町を歴代のローマ教皇はとても厚い信頼を寄せています。

2007年には、ベネディクト16世がルルドへ聖母が出現して150周年ということもあって、ルルドの巡礼を奨励しました。そして2012年に『世界病者の日』ルルドの祝日20周年を記念して、ローマ教皇みずからが病人に塗油を行いました。人口15000人ほどの小さな小さな町ですが、「ルルドの泉」を訪れる人たちが大勢います。人々は「ルルドの泉」で「癒し」を求めて世界中から集まります。

日本にもルルドがある

日本でもルルドの洞窟を模したものがあります。一番最初に作られたのは隠れキリシタンが江戸時代に頑張っていた長崎の五島です。明治28年(1895年)にルルドの洞窟を模した建設がはじまり、ポーランドのカトリック司祭で「アウシュビッツの聖者」と呼ばれマキシミリアノ・コルベ神父は日本にも1930年に来日していたこともあり、新学校で哲学を教えていました。その関係マキシミリアノ・コルベ神父ゆかりの長崎の本河長などをはじめとして、日本全国のカトリック教会にさかんにルルドの洞窟が作られるようになりました。

フランスルルドまではいけないけど、ルルドの洞窟はどのようなのか見てみたい!!と思ったら、ルルドのマサビエルの洞窟と寸法も全く同じのルルドの洞窟を日本でもみることができます。どこにあるのか?!といえばそれは名古屋にあります。名古屋東区主税町3丁目33番地にあり、名古屋市営地下鉄の桜通線高岳駅から徒歩約10分にある『カトリック主税町教会』富士山の溶岩をつかって、マサビエルの洞窟と寸法を同じでドイツ人技師によって作られました。名古屋に行けば、日本にいながらルルドの洞窟がどのようなものになっているのかを見ることが出来るので、興味がある方は訪れてみてはいかがでしょう。